HONDA CBR1000RR-R SP インプレッション Vol.5 |
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フロントフォーク |
フロントフォークはSPだと 電子制御のオーリンズ NPX Smart ECが装着されていて 普通のCBR1000RR-RではショーワのBRFになります。 ストロークする時、特に動き始めにフリクションを全く感じない 実に滑らかな動作をするサスペンションとしての基本性能を しっかり備えている事はもちろんなんですが とにかく電子制御サスはスイッチを押すだけで 楽にセッティングが出来るので いちいち車体から降りてネジを回して セッティングをしないといけない 普通のサスペンションには戻れなくなると思います。 特に公道では国際サーキットのような 綺麗なアスファルトの路面もありますし 荒れたデコボコした路面もあるので 予めプログラムしておくことで 路面に応じてボタンを押すだけで 瞬時にサスペンションのセッティングが変わり 車体から降りることなくスマートに最適なセッティングで走れます。 |
ちなみに電子サスでもスプリングのプリロードだけは 物理的にネジをまわさないといけないですが 乗り心地のほとんどは ショックの減衰力によって左右されるので 55Kg~75Kgの標準的な体重の範囲なら プリロードを変更する必要はまず無いと思います。 コーナーリングに関しては 一般的な1000ccクラスのバイクとは当然別物で まるで250ccクラスのバイクに乗っているかのような感覚で 曲がっていくので コーナー侵入に対してはCBR600RRと比べても ほぼ同じ感覚で曲がる印象でした。 ただ、CBR600RRよりもフロントタイヤの接地感が 明らかに良い印象なので フロントブレーキを意識して使わなくても 素早く旋回状態に入れる印象でした。 |
リアサスペンション |
リアサスペンションはSPだと 電子制御のオーリンズ TTX36 Smart ECが装着されていて 通常のCBR1000RR-RではショーワのBFRC-liteになります。 リア側もフロントフォークと同じく 電子サスでもスプリングのプリロード設定は ネジを回す必要がありますが フロントフォークとは違って 小さなマイナスドライバーでネジを回すだけで可能です。 |
後軸重量:94Kg ドライブチェーン:525サイズ 118リンク ドライブスプロケット(フロント):16T ドリブンスプロケット(リア):40T ちなみに純正タイヤは写真のブリヂストンだと BATTLAX RACING STREET RS11で ピレリーだとDIABLO Supercorsa SPになります。 両方ともストリートでも使える サーキット寄りのタイヤみたいな位置づけなので グリップする温度領域はそれほどシビアではありませんが 路面温度が低い冬場の走行や 雨の日の走行では一般的なツーリングタイヤよりも 注意して走る必要がありますね。 ちなみに車両の製造タイミングによって 装着タイヤのメーカーは変わります。 |
電子制御サスペンションのセッティング画面ですが A1からA3までの3つのプリセットに それぞれ自由にセッティングする事が出来ます。 初期設定ではA1がトラック、A2がスポーツ(ストリート) A3がレインモードになり フロント、リアの走行時の減衰力の他に ブレーキング時、加速時、コーナリング時の 減衰力設定が触れます。 実際にはIMUからの6軸慣性情報に応じて 最適な減衰力になるので 減衰力を直接決定している数値ではなく 強めに設定するとか弱めにするといった数値になります。 つまり、普段の走行では乗り心地を良くして ブレーキング時だけ減衰力をより高めて 車体を安定させるといった設定も可能なので まさにそれが電子制御サスの真骨頂だと言えます。 これがオーリンズの凄さなのか とにかくセッティング幅の広さに驚いたのですが トラックモードで0からプラスの方向に数字を上げれば ガチガチのサーキット専用車両のような減衰力特性になりますし レインモードでマイナス側に数字を振れば まるでオフロード車のようなフワフワの減衰力になります。 公道をまったり走るなら迷わずレインモードで マイナス側に数字を振れば まずお尻が痛くなる事はないと思います。 |
ちなみにスポーツモードとレインモードでは 加速時とコーナリング時の減衰特性の設定は触れないので 3つの設定全てに 加速時とコーナーリング時の設定を触りたい場合は 3つともトラックモードにすれば可能ですが 乗り心地を良くしようと-5に設定しても レインモードの0よりも乗り心地を良くする事は出来なかったので トラック・スポーツ・レインの3つのモードは それぞれ減衰力の設定範囲が違うようですね。 |
そしてこれはIMUの情報を無視した マニュアルモードのサスセッティング画面です。 これもM1~M3の3パターンを記録出来ます。 初期設定では数値から見ても M1がトラック、M2がスポーツ(ストリート)、M3がレインのようですね。 フロント・リアサスペンションの縮み側と伸び側の 減衰力のセッティングをマニュアルで行えますが 電子制御サスの動きに違和感を感じなければ マニュアル設定にする必要は無いというか せっかくの電子サスなので勿体ないですね。 |
フロントブレーキ |
前軸重量:107Kg SPにはブレンボ製のブレーキキャリパーが採用されていて 普通のCBR1000RR-Rにはニッシン製のキャリパーになります。 そもそも制動力の最大値は タイヤのグリップ力に依存されますが 電子制御サスの姿勢制御も相まって かつて味わったことのないほどの縦Gが掛かるほど 強烈なブレーキングが出来ました。 以前、スズキの隼のインプレッションの時にも ブレンボとニッシンとトキコの違いが 正直分からないと断言しましたが それから色々な経験を積むことで分かってきた事は もしかするとですね・・もしかするとですよ・・ ブレンボはブレーキレバーを戻すリリース時の レスポンスというかブレーキレバーの動きに対して キャリパーのピストンの戻りがリニアな所が 優れているのかもしれませんね。 なのでコーナーに侵入する時の 制動から旋回に移るときのブレーキ操作の時に もっとも差が出るのかもしれませんね。 |
リアブレーキ |
リアブレーキはSPでも 通常のCBR1000RR-Rでもブレンボ製のキャリパーですが SSなのでやはりブレーキパッドは あえて摩擦抵抗の低い物が採用されているのか 制動力が低く設定されています。 初めてSSに乗る人はリアブレーキが 壊れているんじゃないかと思うかもしれませんが 9割はフロント側で止めるので リアブレーキは車体の姿勢を コントロールする程度にしか使えません。 |
ABSモードの選択について |
ABSのモードはTRACK(サーキット用)と SPORT(ストリート用)から選択できます。 初期設定ではSPORTになります。 2つのモードの違いは ABS1のトラックモードではリアリフト制御特性が ハードブレーキング優先になり ノーズダイブをより多く許容する事で より深いブレーキングが出来るようになりますが 当然ブレーキング中のリアタイヤの接地性は落ちるので ブレーキング中の車体の挙動が乱れやすくなります。 ABS2のSPORTモードでは安全優先という事で フロントブレーキに対してノーズダイブを抑制する 油圧制御になるので ブレーキング中のリアタイヤの接地性がより多く確保されます。 つまり、制動力の最大値よりも ブレーキング中の車体の安定性を優先したモードになります。 |