YZF-R125・R15 フロントフォークの突き出し調整 Vol.6 |
タイヤやリンクを替えてローダウンしても 下がるのはリア側だけなので 今回はフロントフォークの突き出し量を リアのローダウンした量に合わせて変更する事で さらに足つき性が良くなりますし 前後の車高がノーマルと同じバランスに戻るので コーナーリングのフィーリングに違和感が無くなります。 今回はリアタイヤによって約10mmほどしか ローダウンさせていないので走行に違和感を感じない方は 突き出し調整は特に行わなくても良いと思います。 ただ、その場合は車体が尻下がりになる事で ヘッドライトの光軸が上向きになるので 光軸を下げる調整を行います。 |
ヘッドライトの光軸調整をするには ヘッドライト下の中心付近の車体左側にある 矢印の六角の頭部分を8ミリのスパナを使って回すか ギザギザのギア部分にプラスドライバーを突っ込んで回します。 六角の頭部分を時計回りに回すと光軸が下がりますが プラスドライバーを突っ込んだ場合は 反時計回りにドライバーを回す事で時計回りに回ります。 |
フロントフォークの突き出し量を変更する場合は まずはノーマル状態の突き出し量を計って記録しておきます。 YZF-R125・R15ではアッパーブラケット(トップブリッジ)の形状が 外側に向かって斜めになっているので アッパーブラケットの内側と 写真の外側と2ヵ所を計ってくと完璧ですね。 突き出し量を変更する最中にも 左右の突き出し量を揃える為に突き出し部分を計るのですが 写真の外側よりも内側の方が計りやすいので むしろほとんど飛び出していない内側の数値の方が重要ですね。 あと、フロントフォークに砂利や砂が付着していると フロントフォークがスライドした時にキズが付いてしまうので フロントフォークを固定している部分の下部分を清掃しておきます。 |
二人で作業を行う場合は 相方にフロント用のメンテナンススタンドを支えて貰って ボルトを緩めた後のフォークの突き出し量を メンテナンススタンドの持ち上げ具合によって 自由に変更する事が出来るので 丁度良い所でボルトを締めればそこで固定出来ます。 フロントフォークを固定している最後の1本を緩める時には 写真のように車体を持ち上げずに 下から支えている状態でスタンバイします。 |
一人で作業を行う場合はエンジンの底部分を 自動車用の油圧ジャッキかパンタジャッキを使い 車体にキズを付けないようにゴムのアダプターか 分厚いゴム板を間に敷いてから 車体を持ち上げないように そっとエンジンに触れる程度に下から支えます。 写真に赤い線を引いていますが 支える所はなるべく強度の高い所が良いので 平たい部分は避けた方が良いですね。 あと、出来るだけ車体の重心のセンターを支えないと 左右に車体が倒れようとするので 常にハンドルを掴んでおかないと不安定になります。 とにかく車体を倒さないように全力を尽くします。 |
油圧ジャッキやパンタジャッキでエンジンを支える場合でも リアのメンテナンススタンドは使った方が良いですね。 サイドスタンドでも作業自体は行えますが 車体が斜めに傾くので 左右のフロントフォークで力の掛かり方が変わる為 左右の突き出し量を均等に合わせるのが難しくなります。 |
まずはフロントフォークを固定している 左右のロア(アンダー)ブラケットの ピンチボルト(六角穴付きボルト)から緩めます。 作業のコツとしてはボルトが抜けない程度に 最大まで緩めて下さい。 |
カウルが付いている状態だと長い工具が使えないので 一般的な六角レンチを使います。 |
最後に赤矢印のハンドルバーピンチボルトと 黄矢印のアッパーブラケットピンチボルトを緩めます。 何も支えていない状態だと最後の一本を緩めたあたりで フロントフォークがアッパーブラケットから突き出してきますし ジャッキでエンジンを支えている状態だと 車体の荷重がジャッキに乗るので車体を倒さないように ハンドル等の車体を持って支えます。 |
フロントのメンテナンススタンドを使っている場合は 車体からスタンドを抜く方向に動かすと フロントフォークが伸びてくるので 初期値から10mmほど伸びた所で ハンドルバーピンチボルトと アッパーブラケットピンチボルトを 15N-mくらいの力加減で適当に締めて止めます。 油圧ジャッキやパンタジャッキの場合は 初期値から10mmに伸びるまでジャッキのアームを下ろしますが 油圧ジャッキの場合は緩める方への微調整は難しいので 予め油圧を抜くネジは硬く締め付けない方が良いですね。 あと、油圧ジャッキは持ち上げる方には微調整が効くので 少し下げ気味にしてから 少しずつ上げた方が調整しやすいですね。 |
左右の突き出し調整が出来たら とりあえず下側にある左右のアンダーブラケットも 適当に締めておきます。 これでスタンドやジャッキから車体を下ろせます。 |
車体を下ろしてから 左右のハンドルバーピンチボルトと アッパーブラケットピンチボルトを 規定締め付けトルクの21N-mで締め付けます。 |
仕上げに下側にある左右のロアブラケットも 規定締め付けトルクの30N-mで締め付けますが 一般的なトルクレンチだとカウルを外さないと入らないので ショートタイプのヘキサゴンソケットを使います。 |
ハンドルを左右に切る事で カウルとの隙間は多少変わるので もっとも隙間が広くなる所で作業を行います。 |
これでフロントフォークの突き出し量の調整は完了です。 今回は10ミリほど突き出し量をアップさせた程度なので 特に問題は起きていませんが 確実にフロントフェンダーとヘッドライト下までの隙間は狭まるので フルブレーキング時に接触するなど 10ミリ以上アップさせる場合は 何かと問題が起きる可能性が高くなりますね。 |
左:ノーマル 中:タイヤ交換のみ 右:突き出し量10mmアップ時 さらに車体をローダウンさせた時に問題となるのは サイドスタンドを立てた時の車体が傾く角度ですが 20mm~30mmほど大きくローダウンさせると サイドスタンドが相対的に長くなり 車体の角度が立ってしまい倒れやすくなるので 短いショートタイプのサイドスタンドに交換する必要がありますが 今回は約10mm程度のローダウンなので フロントフォークの突き出し量を変更した後でも 14度近い角度を確保出来ているので 純正のサイドスタンドでも問題がない範囲に収まります。 経験上、12度以下になると駐輪時に気を遣う事になりますが どの車体の角度であっても路面が斜めになっている所や 風が強い所では駐める向きに気を遣った方が良いですね。 |