SUZUKI アルト F インプレッション Vol.2

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HA36Sアルト5AGS

5速AGSのトランスミッション

日本車ではかなり珍しいシーケンシャルMT・・

いわゆる2ペダルMTやAMTと言われていますが

本来シーケンシャルMTにはない

PレンジやDレンジがあったりと

見かけや操作感は普通のCVT等のATと全く同じなので

従来通りの操作で運転する事が出来ます。

ここがスズキならではの2ペダルMTの良い所ですね。

ただし、Dレンジで走ると変速制御がそこそこアホなので

CVT等の一般的なATと比べるとかなり残念なデキです。

Dレンジで走った場合、このアルトは

一気にクソ車に変貌すると思います。

たぶん、この事が一番低いグレードに

AGSが採用されている一番の理由かもしれませんね。

変速レスポンスもDモレンジでは明らかに遅いです。

MTモードにして変速時にアクセルを抜く事で

我慢出来る範囲に収まります。

つまり、AGSでは常時MTモードで走るのが前提だと思います。

そういう所は生粋のシーケンシャルMTなんだと

思わせてくれますね。

Dレンジを使う時は左手を一時的に他の事に使う場合だけですね。

Mモードで素早く2回レバーを倒すと

1段飛ばしで2速落としも可能です。

AGSの特性や挙動に関しては

停車時にブレーキペダルを踏んで離すと

勝手に前に進むクリープ現象を半クラ走行で再現してくれます。

半クラ走行なので普通のCVT等のクリープ現象と比べれば

弱々しい感じの進み方をしますね。

停車時にサイドブレーキを引く(!マークを点灯させる)と

強制的にニュートラルに入りクリープ現象が起こらなくなるので

停車時にサイドブレーキを引く派の人には

一般的なシーケンシャルMTとして扱えます。

つまり、自動車に対してエンスーな人も

運転が苦手な人も

共存できるように作ってある所が素晴らしですね。

坂道で停車している時にブレーキペダルを踏んで

離した時にはヒルホールドコントロールのアシストが入るので

後ろには下がらず停止してくれますが

時々アシストが入らない事もあるので

サイドブレーキを使って発進した方が確実ですね。

サイドブレーキを戻すと同時にアクセルを少しでも踏めば

後ろに下がることはないのでスムーズに坂道発進が出来ますよ。

 
HA36SアルトAGSユニット

スポーツ走行でのAGS

軽く飛ばし気味でワインディングを走る事は出来ますが

サーキットでタイムアタックをしたり

峠道をバリバリに走る場合は

AGSは残念ながら使いものになりません。

その理由は、変速レスポンスが遅いのが問題なのではなく

エンジンの高回転域でのシフトダウンが出来ない制御なので

高回転を維持させて走らせる事が極めて困難だからです。

各ギアでのシフトダウンが出来る最高回転数を調べると・・

1速←2速:3000回転 2速←3速:3500回転

3速←4速:3900回転 でした。

特に2速から1速に落とせる回転数が3000回転以下からなので

時速28Kmくらいまで落とさないと1速には落とせません。

ジムカーナでのサイドターンではもう致命的ですね。

当然ですが2速でサイドターンをすると

加速時にエンジンがストールしてしまいます。

峠道やミニサーキットで多用する

3速から2速に落とせる回転数も

3500回転なのでかなり厳しい仕様です。

実際にシフトダウンさせて回転数を落としてみると

レッドゾーンの6500回転までは2000回転ほど

マージンを取ってあるので

せめてあと1000回転ほど高い状態で

シフトダウンが出来るならかなりマシになると思います。

ただ、シフトアップに関してはかなり攻めた制御なので

シフトアップした時に1500回転を少し切るような状況でも

シフトアップが出来たりします。

その事もあってDレンジで走るよりも

MTモードで早めにシフトアップした方が

圧倒的に良い燃費走行が出来ます。

 
HA36SアルトFのフロントサスペンション

ストラット式のフロントサスペンション

とにかくフワッフワの乗り心地のサスペンションなので

あらゆる路面のギャップを吸収してくれます。

そこそこ速い速度で荒れた路面を走っても

直線の道では何の問題もなく走りきる事が出来るのです。

この極上の乗り心地の良さは

近所の買い物に使うような時速40Km前後に最適化された

サスペンションのセッティングのおかげで

NAエンジンモデルならではの良さかもしれませんね。

ここまでならただの高級車のアシなんですが・・

そのままそこそこ速い速度でコーナーを曲がると

ショックアブソーバーの減衰力が非常に緩いので

ロールスピードがそこそこ速く

尚且つ、スタビライザーが装着されていない事もあって

ステアリングを切った瞬間からタイヤの接地感が無くなり

ほぼ外側の2本のタイヤで旋回を行う事になります。

当然、狙ったラインからは

大幅に外れて外に膨らんでしまい

そこそこ酷いアンダーステアで曲がる事になりますね。

この足回りだと車体の軽さを生かしたような

スポーティな走りは全く出来ないですね。

 
HA36SアルトFのトーションビーム

トーションビーム式のリアサスペンション

このHA36S型のアルトが誕生した時に

大幅に進化したのがこのリアサスペンションですね。

先代のI.T.L式から現代の多くの小型車が採用する

トーションビーム式になりました。

ラテラルロッド等がなくった事で軽量化されただけでなく

サスペンションのストローク量がかなり増えたので

乗り心地が大幅に改善された事と

車高を落とす余裕が出来たのでチューニングの幅も広がりました。

このFグレードでは、NAの最上位グレードのXや

ターボRS、アルトワークスと違い

トーションビームの真ん中に

スタビライザーの役割をする補強バーがないので

柔軟性が非常に高く、極上の乗り心地なのは

このトーションビームのおかげな事もありますが

酷いアンダーステアな特性も

ステアリングのセンター付近の応答性の悪さも

この柔らかいトーションビームの影響です。

 

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