GSX-S1000 VS MT-09 合同インプレッション Vol.3

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RN69J型MT-09右スイッチボックス

ハンドルスイッチまわり・・MT-09

右側には最近流行の

キルスイッチと一体型のスターターボタンと

メニューと書かれたダイヤル型のスイッチがあります。

ダイヤルを回す事で

メーターパネルを感覚的に操作でき

決定する場合はダイヤルを押し込みます。

ただ・・グローブを付けた状態で操作するには

少しダイヤルの節度感が弱いので

回しすぎてしまう事が多いですね。

最近の高性能バイクでは電子制御等の機能が多く

その機能に比例して物理ボタンの数も多くなる傾向がありますが

このダイヤル型スイッチは

その問題を解決出来る可能性がありますね。

 
RN69J型MT-09左スイッチボックス

左側のスイッチボックスは少しごちゃついていますが

一般的なスイッチ類の他に

電子制御と走行モードの選択を切り替えるモードスイッチと

数値を変更する為の上下のスイッチがあります。

 
RN69J型MT-09パッシングスイッチ

スイッチボックスの裏側には

一般的なパッシングスイッチがあるだけですね。

 
RN69J型MT-09ハンドル切れ角

取り回し・・MT-09

基本的に取り回しの事を書くことは無いのですが

MT-09のハンドルの切れ角については

触れておく必要がありますね。

写真でも何となく伝わってくると思いますが

MT-09は同クラスの他の車両と比較して

明らかにハンドルの切れ角が小さいです。

HPのスペック表では表示されていませんが

取説のスペック表では最小回転半径が3.4mと表記されています。

最小回転半径はホイールベース(軸間距離)と

ハンドルの切れ角によってほぼ決定しますが

GSX-S1000はMT-09に対して

30mmほどホイールベースが長いのにも関わらず

最小回転半径は3.1mなのでMT-09よりも小さく回れます。

つまり、それだけMT-09のハンドルの切れ角が

小さい事が分かりますね。

走行している時にはバンク角を付ける事で

最小回転半径よりも小さく回る事が出来ますが

手で車体を押している時など

狭い場所での取り回しでは

何度も切り返す必要があったりと苦労する事があります。

主にストリートを走るネイキッドとしては

間違いなく短所と言えますね。

 
EK1AA型GSX-S1000右スイッチボックス

ハンドルスイッチまわり・・GSX-S1000

GSX-S1000も同じくキルスイッチと一体型のスターターに

ハザードランプスイッチがありますね。

 
EK1AA型GSX-S1000左スイッチボックス

左側は一般的なスイッチの他に

モードスイッチの横に上下のスイッチがあるので

MT-09とよく似ているのですが

ダイヤル式のスイッチのような物が無い分

GSX-S1000では約2秒間の長押しをする事で

ボタンの少なさをカバーしています。

ただ、メニュー画面での操作では

常にこの2秒間の長押しを使う必要があるので

素早くスムーズに操作する事を妨げられます。

 
EK1AA型GSX-S1000左スイッチボックスライトボタン

ちなみにヘッドライトを操作するスイッチは

裏側にある一つのスイッチに集約されていて

押すとパッシング、反対側に反らせるとハイビームになります。

スイッチボックスの前側のボタンが多くなってきた事で

このようにヘッドライトのスイッチを

裏側に持ってくる車両が増えていますね。

このタイプのスイッチの方が慣れると使いやすく

他のボタンとは独立した場所にあるので

押し間違いを防ぐ効果も大きいですね。

 
RN69J型MT-09メーターパネル

メーターパネル・・MT-09

液晶画面はあまり大きくは無い感じですが

カラー液晶でなおかつ解像度も高く

文字が鮮明に表示されているので見やすいですね。

表示されている情報量も必要最小限で

きっちり整理されていると思います。

写真では水温計と燃料計が表示されていますが

オドメーターやトリップ計など表示するデータを選べます。

必要最小限で合理的な所は良いのですが

燃料計のセグメントはもう少し細かく

表示してくれた方がありがたいですね。

最初のセグメントで一気に半分になりますからね・・

 
RN69J型MT-09走行モード

走行モード・・MT-09

D-MODEと書かれている1~4の数字の事で

4段階でエンジンレスポンスを選べます。

1がもっとも過激なアクセルレスポンスの設定ですが

それでも普通に扱えるレベルのレスポンスでした。

2は過剰な演出をしていない

自然な曲線を描くレスポンスなので

もっとも扱いやすいモードですね。

3は意図的にレスポンスを落とした設定で

4はさらに緩いレスポンスと同時に

エンジン出力も抑えたモードなので

雨の日用のレインモードと言えますね。

 
RN69J型MT-09IMU

電子制御・・MT-09

今回の目玉というか最大のウリと言っても良い

6軸IMUによる本格的な電子制御を搭載しています。

このIMUによる電子制御が先代までとは大きく異なる要素で

IMUにより車体の傾きを感知する事で

車体の状況に応じた適切なTCS制御を行うことが出来ます。

 
RN69J型MT-09トラコンマニュアル設定

一般的なスーパースポーツの車両では

それぞれの電子制御の数値が

メーターパネル上に一気に表示されていますが

MT-09ではTSC-MODEの所に

1、2、M(マニュアル設定)、オフの4パターンから選ぶだけなので

シンプルにまとめられています。

TSC-MODEの所に表示される数値は

電子制御の介入レベルで

MT-09ではレベル1~3の3段階で選べますが

最大のレベル3を選択するには予めメニュー画面から

M(マニュアル設定モード)の内容を編集しておく必要があります。

 
RN69J型MT-09メニュー画面

細かな車両の設定は基本的に

このメニュー画面で設定しますが

走り出すと強制的に標準画面に戻されるので

停車中にしか触れない仕様です。

 
RN69J型MT-09電子制御マニュアル設定

TSC-MODEをMにした時の電子制御レベルは

このメニュー画面から設定します。

TCSはトラクションコントロールシステム(トラコン)で

前輪と後輪の回転差を読み取る事で

後輪の空転を感知するとスロットルが自動で閉じます。

SCSはスライドコントロールシステムで

車体のバンク角をIMUが感知する事でTCSの制御に影響します。

LIFはリフトコントロールシステムで

アンチウィリーやアンチリフトとも言われている機能ですね。

前輪が浮いた時の車体の傾きをIMUが感知する事で

スロットルを自動で閉じます。

 
RN69J型MT-09ブレーキコントロールシステム

6軸IMUはエンジンの制御だけでなく

ブレーキ(ABS)の制御にも使われるので

車体のバンク角に合わせて適切なABS制御を行うことで

タイヤがロックアップする事による

スリップダウンを防ぐ効果があります。

BC(ブレーキコントロールシステム)の設定画面では

1と2の設定を選べますが

1はIMUを使わない一般的なABS制御になり

2はIMUを使って車体の傾きを考慮したABS制御になります。

 
RN69J型MT-09シフトタイミングランプ設定

シフトタイミングランプ・・MT-09

これをシフトタイミングランプと

言って良いのかどうかは微妙ですが

エンジン回転数を設定すれば

シフトポジションの所が点滅するようになるのですが

運転に集中して前を向いている状態だと

ぶっちゃけ分かりづらいですね。

 
EK1AA型GSX-S1000メーターパネル

メーターパネル・・GSX-S1000

大きくて存在感のあるメーターパネルが採用されており

文字やカラーはまるでレトロゲームのような雰囲気なので

車体のデザインとの一体感もあり

独特な世界観を作れているので素晴らしいですね。

ただ、実際問題見やすいのかと聞かれれば

輝度を最大まで高めたとしても

全体的に薄暗い雰囲気なので

直射日光が降り注ぐ昼間の視認性は悪いですね。

それでも輝度さえ上げておけば

重要な黄緑色の文字は見えるのですが

さらに薄暗いブルーの部分はかなり見にくいです。

ちなみに写真ではオドメーターと電圧計などが表示されていますが

上下別々に任意のデータを表示する事が出来ます。

 
EK1AA型GSX-S1000電子制御設定

電子制御・・GSX-S1000

GSX-S1000の電子制御は

車体の傾きを感知するIMUは無く

スロットル、クランク、ギアポジションと

前輪と後輪の回転差を感知しての電子制御なので

TCと書かれているトラコンくらいしか触る項目が無いのですが

シンプルにメインの画面上のみで調整します。

トラコンのレベルは5段階とオフの設定が出来るので

その日の路面のコンディションに合わせて微調整が出来る所は

GSX-R譲りの本格的な走りの要素ですね。

あと、大抵の車両ではTCSのレベルを1までしか調整出来ず

完全にオフにするにはわざわざメニューを開いて

別画面で設定する必要がありますが

GSX-S1000ではTCSのレベルを5~オフまでリニアに変更出来ます。

ちなみにアンチウィリーは付いていませんが

フロントタイヤが浮き上がると

前輪と後輪の回転差が生じる事でTCSが動作するので

アクセルを全開にしていてもスロットルが自動で閉じる事で

ウイリーの状態が収まります。

 
EK1AA型GSX-S1000走行モード設定

走行モード・・GSX-S1000

今回から新しく加わった機能で

SDMS(スズキドライブモードセレクター)によって

アクセルレスポンスが変わる走行モードを

A・B・Cの3段階で選べます。

もっとも過激なAだとまさにスーパースポーツのエンジン

そのものの加速フィーリングなので

過敏過ぎるとも思える鬼のようなハイレスポンスを味わえます。

先代のGSX-S1000がAモード固定だったと思ったら

さぞかしツーリングの時は

右腕が疲れたのだろうと容易に想像が付きますね。

少しレスポンスを抑えたというか

自然な加速曲線のBは本来

街中を走るのに適したモードだと思うのですが

Bでもそこそこハイレスポンスというか

ぶっちゃけMT-09のAモードよりもハイレスポンスなので

もっともレスポンスが緩いCのレインモードが実質

街乗りマッタリモードだと思って良いと思います。

なので感覚的にはAとBの差は小さく

BとCの差がかなり大きいので

BとCの間のモードが欲しい所ですね。

これは電子スロットルを採用した全ての車両での共通点ですが

走っている時に走行モードや電子制御を調整する場合は

必ずアクセルをオフにしておく必要がありますよ。

 
EK1AA型GSX-S1000シフトタイミングランプ設定

シフトタイミングランプ・・GSX-S1000

GSX-S1000のシフトタイミングランプは

液晶画面とは別に独立して装備されているので

前方に集中しながらでも

確実にタイミングランプの光を認識する事が出来ます。

ランプの点滅の有り無しや輝度など

細かく設定する事が出来ます。

 

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