サーキットでタイムを縮めようとすると
エンジンパワーを求める事になり
それに合わせて太く重いハイグリップタイヤを履かせる事になり
ブレーキも巨大化して、それに合わせてホイールも大きくなり
サスペンションも硬くなって、それに合わせてボディも
補強しなくてはいけなくなり、結果的に車輌が重くなります。
そもそも、パワーのある2輪駆動のマシンでは
ハイグリップタイヤを履かないとトラクションが掛からず
3速~4速でもまともに加速すら出来ずに
ホイールスピンをしてしまいます。
非力なエンジンのロードスターでは、1速での直線加速で
電子制御を切ったとしても、ホイールスピンは、まずあり得ません。
この事は、ロードスターの経済性を高めている要素の一つで
細くて硬いコンパウンドのタイヤを履いても
普通に1速で全開加速が出来てしまうので
ロードスターでは、タイヤを選ばないのです。
そうなると、非力なロードスターでは
パワーオーバーでのテールスライドが出来ないと
思われがちですがそんな事はありません。
エンジン出力に対してタイヤのグリップ力が高すぎるだけなんです。
エンジン出力に似合ったタイヤを履くことが重要で
これはパワーオーバーでのテールスライドだけでなく
コーナーリングにおいても
ハイグリップタイヤを履かせない事で
良好な乗り心地を保ったまま、快適に走らせる事が出来ます。
低いグリップ力のタイヤを履かせると、普通のクルマなら
どう考えても楽しくない自動車に仕上がりますが
前後50:50の重量配分や徹底的に低重心化されたロードスターでは
どんなタイヤを履いても
存分にその走りを楽しむことが出来るというか
むしろ、低いグリップ力のタイヤの方が
ロードスターの醍醐味をより深く味わえるように思えるのです。
つまり、他のスポーツカーの常識を
ロードスターに当てはめる事は、もっとも残念な行為であり
ロードスターの個性を殺してしまう事になるのです。 |