HONDA CBR600RR 動力性能の検証 Vol.3

HOME - GARAGE - CBR600RR - Engine performance

CBR600RR(8BL-PC40)加速力の比較3

左:P5・T8・W3   右:P1・T9・W1

次はエンジン出力に影響するパワーセレクターのP値による

加速力の違いを見ていきますが

まずは左のP:5と右のP:1との比較です。

メーカーが公表しているグラフによると

フルパワーを発揮出来るのはP値が1と2の時だけで

3、4、5とP値を上げるにつれて最高出力自体も落ちていくので

P:5とP:1では圧倒的な加速の差が生まれるハズですが

今回はT値のトラクションコントロールも両方とも

多めに掛けている所が結果を予想するのを難しくしていますよ。

3000回転から同期させて10000万回転あたりの写真ですが

ここまでは全く同じ加速力でした。

もうこの時点でメーカーが公表している

パワーセレクターのグラフが

ウソなんじゃないかと疑ってしまいますね。

 

さらに加速をしてパワーバンドに乗った

12000回転まで全く同じ加速力だったので

もはやP値の意味をなしていない気もするのですが

先に左のP:5の方がトラコンの介入が入りました。

予想では左のP:5ではトラコンの介入は無いと思っていたので

まさかの結果ですね。

 

さらに加速が進んで右のP:1が13000回転に入った所ですが

左のP:5の車両は、もはやP値による出力の違いなのか

トラコンの介入によってなのかは分からなくなりましたが

200回転程度低い回転数になっていますね。

 

右のP:1がレッドゾーン手前まで加速しました所ですが

やはり最後まで200回転程度の差しか生じませんでした。

写っていないだけで右のP:1にも

Tのランプが光っているのですが

おそらくトラコンの介入度合(スロットルの閉じ量)は

エンジン出力自体が小さい左のP:5の方が

より小さいと思われるので

T値の設定によっては

P:5とP:1が結果的にほとんど同じ加速力になった・・

としか言えない結果でした。

パワーセレクターの設定が何だか怪しくなってきたので

この他にも何度もテストを行いましたが

P:5の設定だからと嘗めてT値やWの値を低く設定すると

ちゃんとフロントが浮くんですよね・・

メーカーが公表しているパワーセレクターのグラフが

ウソではないとすると、いわゆるグラフマジックというか

P:1~P:5までの差はグラフの見た目の印象ほど

大きな差がなく、微々たる物なのかもしれませんね。

 
CBR600RR(8BL-PC40)加速力の比較4

左:P5・T8・W3   右:P1・P2・W3

P値(パワーセレクター)の違いがよく分からなくなってきたので

最後に左のP:5と0-100Km/h加速で

最速タイムを出した右のP:1のを比較してみました。

 

10000回転まで回ったあたりですが

若干、左のP5の方が回転数が低いのですが

ほとんど差はないですね。

 

右のP:1が12000回転近く回った所ですが

左のP:5との回転数に差が出て来ましたね。

 

右のP:1が13000回転に到達した時には

左のP:5との回転数の差は約400回転くらい出ました。

 

さらに回していくと500回転くらいの差がついた感じでしょうか・・

さすがにT値を抑えたP:1だと

P:5に対して加速力の差を付けられたとは思いますが

やはり思っていたほどの差は無かった感じですかね・・

ただ、今回はスロットルが全開状態での計測なので

アクセルレスポンスの違いは排除されていますが

実際に走るとP:1とP:5ではレスポンスの違いは歴然なので

体感的にもP:5だとかなり遅く感じるのは確かですね。

以上の結果から、P値の違いはエンジンの最高出力よりも

アクセルレスポンスにもっとも強く影響したので

今回のようなアクセル全開状態での計測では

大きな差が生まれませんでしたし

P:5よりもP:1の方が

より強くトラコンが介入する可能性が高いので

結局はP値よりもT値のトラコンの方が

加速力に大きく影響する結果でした。

今回の走行テストは

あくまでアクセルを全開にした状態でのテストなので

街中を走行する場合では

電子制御がさらに複雑に絡んでくると思われます。

その一つの例として・・

高いT値に設定している時に気をつけて欲しいのは

踏切等の路面の凹凸や歩道を横切る時の段差などで

トラコンが介入してくる可能性が高く

スロットルが全く反応しないなど

エンストした時と全く同じ状況になる事で

極めて低速で走っている状態だと

立ちゴケするリスクがありますね。

このような事から公道の複雑な路面状況においては

電子制御が時に悪さをする事があるので

電子制御を過信し過ぎない事や

裏切られる事も想定しておく事が重要ですね。

 

Vol.1 > Vol.2 > Vol.3

 

HOME - GARAGE - GSX8R - Engine performance