この中にはMT-09の同排気量から見たライバル車はいないので
実売価格からライバルを探すとなると
スズキのGSX-S1000になるのですが
0-100Km/h加速のタイムは3.5秒という事で
MT-09と同じタイムになっています。
今回の3代目となるMT-09(RN69J型)からは
6軸IMUによるスーパースポーツ車並の
高度な電子制御を使える所が最大の武器で
その中でも0-100Km/h加速のタイムに影響する電子制御は
TCS(トラクションコントロール)とLIF(アンチウィリー)です。
どちらも3段階で調整が出来ますが
今回もっとも速かった設定はTCS1のLIF3でした。
TCSは後輪の滑りを感知するとスロットルを自動で緩める制御で
LIFはフロントタイヤの浮き上がりを抑制する為に
スロットルを緩める制御ですが
そもそもフロントタイヤが浮くと
前輪と後輪との回転差が生まれる事でTCSが動作するので
ウイリーを抑制する効果がありますが
LIFによって車体の傾きをTCSの制御に生かす事で
より正確に理想的なTCS制御による加速を可能にしてくれます。
ただ、LIFをもっとも効かせたレベル3の設定にしても
ある程度のウイリーを許容している事から
どうやらサーキットのタイムを削る為の電子制御というよりも
ある程度の技能さえあれば車体を難なく操れて
ウイリーすらも楽しめるような
遊び心のある味付けにしているように思えました。
なのでもっとも強くLIFを効かせても
SSのマシンのようにピタッと前輪を地面に
接地させ続けるような制御ではないので
今回のテストのようなタイムを出さないといけない状況では
苦労させられる事もありますが
ウイリーしつつも安心して楽しく走らせる事が
MT-09の真骨頂なのかもしれませんね。
ちなみに4つのドライブモードの中で唯一
フロントが全くウイリーしなかったのは
エンジンの出力を抑えるドライブモード4のみで
ドライブモード3以降は
スロットルの立ち上がり曲線の鋭さが違うだけで
最大出力は全く同じなので
最終的にはフロントタイヤが浮きました。 |