YAMAHA MT-09 動力性能の検証

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MT-09(RN69J)エンジン

今回はMT-09のエンジンの動力性能に的を絞り

加速力を可視化し分析したいと思います。

 
MT-09(RN69J)レブリミット

レブリミット

まずはエンジン回転数のレブリミットですが

タコメーターに表示されている1万1000回転の

レッドゾーンの所までしか回せないようですね。

あと、1速での最高速度はメーター読みで108Km/hでした。

 
MT-09(RN69J)右リアビュー

ちなみに2速では140km/hまで加速出来ます。

 
MT-09最高速度

最高速度

次はMT-09の最高速度を調べましたが

風圧に耐えられる出来るだけ自然なライディング姿勢を保った状態で

メーター読みで215~216Km/hを行ったり来たりという感じで

その時のGPSでの速度計では201Km/hでした。

MT-09のライディングの姿勢は

オフロード車のように背筋が立った状態なので

特に人間の体による空気抵抗が大きい事から

燃料タンクにしっかり体を伏せる事で

230Km/h近くまでは速度が伸びそうですね。

ただ、車体の特性的にも時速200Km/hを超える高速領域では

安定した状態で走れるように設計されていないようで

ハンドルがブレるなどスタビリティに不安を感じます。

なので実際にはMT-09で安定して走れるのは

時速180Km/hあたりまでだと思っておいた方が良いですね。

なので国際サーキットのようなストレートが長いコースを走る場合は

最低でもスクリーンとステアリングダンパーは装着したいですね。

 
MT-09(RN69J)0-100Km/h加速データ

0-100Km/h加速

次はMT-09の0-100Km/h加速をグラフにしました。

タイムが近い車両のデータも参考に載せていますが

ここでの共通レギュレーションとして

普段の実用的な加速力を知る為に

停車時からのスタート時にクラッチを繋げる回転数は

2000回転前後に制限していますよ。

グラフの縦は秒で横が時速(Km/h)になりますが

MT-09(赤色)の0-100Km/h加速のタイムは3.5秒で

歴代2位タイの記録でした。

ちなみにドライブモードはもっともレスポンスが鋭い1の設定です。

MT-07にしろMT-09にしろ車体が軽く

ホイールベースが短い事で俊敏な旋回が出来るのですが

それだけ非常にフロントタイヤが浮きやすく

どうしてもウイリーしてしまいます。

おまけに燃料タンクにもガソリンが沢山入らないので

フロントに荷重を乗せるのにも苦労しますが

パワーウェイトレシオの数値が低い事から

そもそも車体のポテンシャル自体は高いので

0-100Km/h加速のタイムは

900cc未満の排気量で限定すれば過去最速になり

リッタークラスとも肩を並べられる優れたタイムなので

かなり優秀な結果でした。

 

電子制御の設定について

この中にはMT-09の同排気量から見たライバル車はいないので

実売価格からライバルを探すとなると

スズキのGSX-S1000になるのですが

0-100Km/h加速のタイムは3.5秒という事で

MT-09と同じタイムになっています。

今回の3代目となるMT-09(RN69J型)からは

6軸IMUによるスーパースポーツ車並の

高度な電子制御を使える所が最大の武器で

その中でも0-100Km/h加速のタイムに影響する電子制御は

TCS(トラクションコントロール)とLIF(アンチウィリー)です。

どちらも3段階で調整が出来ますが

今回もっとも速かった設定はTCS1のLIF3でした。

TCSは後輪の滑りを感知するとスロットルを自動で緩める制御で

LIFはフロントタイヤの浮き上がりを抑制する為に

スロットルを緩める制御ですが

そもそもフロントタイヤが浮くと

前輪と後輪との回転差が生まれる事でTCSが動作するので

ウイリーを抑制する効果がありますが

LIFによって車体の傾きをTCSの制御に生かす事で

より正確に理想的なTCS制御による加速を可能にしてくれます。

ただ、LIFをもっとも効かせたレベル3の設定にしても

ある程度のウイリーを許容している事から

どうやらサーキットのタイムを削る為の電子制御というよりも

ある程度の技能さえあれば車体を難なく操れて

ウイリーすらも楽しめるような

遊び心のある味付けにしているように思えました。

なのでもっとも強くLIFを効かせても

SSのマシンのようにピタッと前輪を地面に

接地させ続けるような制御ではないので

今回のテストのようなタイムを出さないといけない状況では

苦労させられる事もありますが

ウイリーしつつも安心して楽しく走らせる事が

MT-09の真骨頂なのかもしれませんね。

ちなみに4つのドライブモードの中で唯一

フロントが全くウイリーしなかったのは

エンジンの出力を抑えるドライブモード4のみで

ドライブモード3以降は

スロットルの立ち上がり曲線の鋭さが違うだけで

最大出力は全く同じなので

最終的にはフロントタイヤが浮きました。

 

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