SUZUKI アルト F フロント トー角の調整

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HA36Sアルトのタイロッド

今回はアルトFのフロントのトー角を調整します。

アルトに限らず市販車のフロントのトー角は

トーイン方向に調整されています。

その理由は人が何人乗っていても

どんな状況の道を走ろうとも

車体が真っ直ぐ進もうとする力が強いので安定しているからです。

なので基本はトーインで良いので

調整する必要はないのですが

ネガティブ方向にキャンバー角を付けた時は

キャンバーのトーイン効果により

トーインになりすぎて走行抵抗が増えたり

車高をかなり落とした時などは

トーアウトになりすぎて直進性が悪くなったりする事があるので

トー角を調整する事で改善出来ます。

 

トーの調整する前に

まずは現在のトー角の状態を記録しておきます。

メジャーとテープと直尺を使って

簡易的にフロントタイヤのトー角を測れますよ。

まずはメジャーを伸ばして片方のタイヤの溝に引っ掛け

反対側のタイヤまで引っ張り

メジャーが真っ直ぐな状態で測れる高さを調べます。

車高が落ちれば落ちるほど車体とメジャーが干渉するので

低い位置で測る事になりますね。

今回だと大体地面から16センチくらいだったので

そこにメジャーの端をテープで固定します。

 

反対側のタイヤでも直尺を使って

同じ高さの同じ溝の所の距離を記録します。

後はタイヤの反対側(裏)でも同じように距離を測る事で

何ミリトーイン、あるいはトーアウトなのか知る事が出来ます。

今回はタイヤのフロント側が0.3ミリほど短かったので

0.3ミリトーインという事になりました。

コツとしては、出来るだけ大きなメジャーを使う事と

出来るだけ平たい地面の場所で測る事でより精度が上がります。

 
HA36Sアルトのアライメント調整

アルトは前輪の後ろ側にタイロッドが通っているので

左側を調整する場合はハンドルを右一杯切れば

タイヤの後ろに隙間が出来るので調整が出来ますよ。

調整の仕方はロックナットを緩めてタイロッドを回すだけです。

タイロッドがタイロッドエンドに入っていく方向に回すと

タイロッドエンドが引っ張られてトーアウトになり

逆にタイロッドエンドから抜く方向に回せば

トーインになります。

タイロッドエンドが動く高ナットで

タイロッドが回るだけの固定されたボルトと思えば

イメージしやすいかと思います。

 

それでは実際に作業してみますよ。

まずは初期値を記録しておきます。

タイロッドエンドからタイロッドまで

マジック等で一直線に線を引きます。

これでいつでも初期値に戻せますし

ロックナットを締めすぎる事も防げます。

とにかく初期値を記録する事が何よりも重要です。

 

次にロックナットを緩めます。

タイロッドエンドに負担を掛けない為にも

19ミリの工具でタイロッドエンドを押さえながら

同じく19ミリの工具でロックナットを緩めるのが理想的ですが

実際はロックナットを回すだけでも緩める事が出来ます。

 

ロックナットが緩んだら

モンキーを使ってタイロッドを任意の方向に回します。

メジャー等で必ず初期値から測りながら回します。

というのも車体の反対側のタイロッドも同じ分だけ

回す必要があるからです。

今回は0.5ミリほどトーアウトの方向に回しました。

後はロックナットを固定し直して

車体の反対側のタイロッドも同じように

トーアウト側に0.5ミリ回します。

ちなみに車体左側をトーアウト、右側をトーイン側に

タイロッドを同じ量だけ回す事で

ハンドルセンターを左に向ける事が出来るので

トーイン、トーアウトだけでなく

ハンドルセンターの調整も出来ます。

 

写真のように左右で5ミリほどトーアウト側に調整した結果

タイヤの前後が同じ長さになりました。

つまり、トーインでもトーアウトでもないフラットな状態になりました。

キャンバー角が1度程度ならトーイン効果により

これでちょうど緩いトーイン状態になります。

調整前は0.3ミリだけトーインだったので

つまり、0.5ミリほど左右のタイロッドを回す事で

約0.3ミリほどトーイン、あるいはトーアウトに修正される事になります。

 
HA36Sアルトのタイロッド

フロトント トー角のセッティングについて・・

アルトFの鈍いステアリングフィールというか

ステアリングの蛇に対して鈍い反応や

手応えの無さの理由は主に3つあり

1つ目はそもそもタイヤ自体の直進性が弱い事が原因で

2つ目は、リアのトーションビームやショックが柔らかい事です。

そして3つ目はトーインのセッティングの為です。

トーインを緩めにするか、トーアウト気味にする事で

タイヤが常に旋回しようとする方向に捩れるので

ステアリングの蛇に対して

キビキビ車体が反応するスポーティなハンドリング特性になります。

しかし、トーアウトのセッティングだと

クルマに乗車する人数の変化による荷重変化によって

サスペンションの沈み具合が変わる時の

ホイールアライメントの変化や

路面の左右の傾斜によって

自動車の直進性に影響が出やすくなります。

具体的にはステアリングを真っ直ぐにしていても

左右どちからに進もうとする事があります。

そういうデメリットも当然あるので

自動車を走らせる環境によって

ベストなトー角のセッティングは変わってきます。

 

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