SUZUKI GSX-S1000 動力性能の検証

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GSX-S1000エンジン

今回はGSX-S1000のエンジン性能にだけ的を絞り

動力性能を可視化してみたいと思います。

 
GSX-S1000レブリミット

レブリミット

まずはエンジン回転数のレブリミットから調べました。

タコメーターのレッドゾーンは1万1250回転からですが

実際にエンジンを回せるのは

レッドゾーンから2セグメント分多い1万1750回転まで回せます。

1速での最高時速は139Km/hまで引っ張れましたが

それでもGSX-R1000Rや

他のSSと比較するとかなりローギヤードなので

やはりストリート向けのギア比だと言えますね。

 
GSX-S1000(EK1AA)2速レッドゾーン

ちなみに2速では162Km/hまで引っ張れますが

明らかに2速目からは極端にクロス化されているので

GSX-S1000のギア比の構成は

GSX-R1000Rの1速目のギア比を軽くした版と思って良いです。

 
GSX-S1000最高速度

最高速度

次はGSX-S1000の最高速度を調べましたが

体を極端に伏せずに風圧に耐えられる自然な姿勢で走った場合

確認出来ている速度は時速230Km/hあたりまでで

GPSでの速度計では218Km/hでした。

それでもまだ加速出来る余裕があったので

おそらくメーター読みで240Km/hあたりまでは伸びる

エンジン出力はあると思われますが

ギア比的に260Km/hあたりまでが限界だと思います。

ネイキッドのGSX-S1000の場合

最高速度よりもむしろ高速領域におけるスタビリティの問題が深刻で

GSX-R1000RのようなSSのマシンでは

時速300Km/hあたりでも安定して走る事が出来ますが

GSX-S1000ではそもそもストリートでの走行しか

想定されていないと思われ

ハンドルの震えなど物理的にライダーに訴えてくるので

とても時速200Km/hオーバーの領域で

安定して走れるようなマシンではありません。

少なくともGSX-S1000でストレートが長いサーキットを走る場合は

スクリーンとステアリングダンパーの装着は必須だと思います。

 
GSX-S1000(EK1AA)0-100Km加速データ

0-100Km/h加速

次はGSX-S1000の0-100Km/h加速のグラフです。

近いタイムの車両のデータも参考に載せていますが

ここでの共通レギュレーションとして

普段の実用的な加速力を知る為に

停車時からのスタート時にクラッチを繋げる回転数は

2000回転以下に制限していますよ。

グラフの縦は秒で横が時速(Km/h)になりますが

GSX-S1000(赤色)の0-100Km/h加速のタイムは3.5秒でした。

歴代2位タイの記録でGSX1300Rの隼(GX72B:緑線)と同タイムですね。

この速度域の加速力では

間違いなくGSX-R1000Rや他のSSよりも優れていて

そもそもエンジン自体は少し前のGSX-Rのエンジンですが

低~中速回転域でトルクが出るようにチューンされていたり

何より1速目のギア比が軽い所が最も加速力に影響していますね。

1速目で150Km/hオーバーが当たり前なSSのマシンでは

時速100Km/hあたりからやっとパワーバンドに乗るので

ローンチコントロールを使わずにスタートダッシュした場合は

時速100Km/h以下の領域で

エンジンパワーを100%発揮する事が出来ません。

 
GSX-S1000(EK1AA)左リアビュー

電子制御(TCS)の設定について

このグラフの中でもっともGSX-S1000に近いライバルは

性能や価格的にもおそらくヤマハのMT-09(紫線)

になるのではないかと思いますが

最終的なタイムはGSX-S1000と全く同じタイムでした。

このレベルの加速力になるともはや

エンジンの3気筒や4気筒という違いはあまり関係なく

電子制御とどううまく付き合っていくかが重要になると思います。

GSX-S1000が0-100Km/h加速において

唯一使える電子制御はTCS(トラクションコントロール)のみです。

TCSはエンジン回転数が上がりパワーが立ち上がってくると

後輪のスリップを感知しTCランプが点滅すると同時に

スロットルが自動で閉じる事で

フロントタイヤが浮き上がるのを未然に防ぐ事が出来ます。

それを上手く効果的に使うことで

0-100Km/h加速を楽に速くする事が出来ますが

逆にTCSが効き過ぎてしまうと

過剰にスロットルを緩められるので遅くなる事もあり

その日の気温や路面温度の違いによる

タイヤのグリップレベルに合わせて

ベストなTCSのレベルに調整する必要がありますね。

ちなみに今回のテストではTCSを最大のレベル5にしても

エンジンの最大出力が出る回転数付近ではフロントタイヤが浮きましたが

フロントタイヤが浮いている時間が長くなればなるほど

より後輪との回転差が生まれるので

TCSがより強く掛かるようになり

アクセルを強制的に閉じられるので

最終的にはフロントタイヤがストンと地面に落ちます。

つまり、しっかり前輪に体重を乗せて

TCSさえしっかり効かせていれば

危険な角度までウイリーする事はまず無いので

安心してアクセルを開けられます。

理想的なもっとも速い加速は

フロントタイヤが地面からほとんど浮くこと無く

フロントフォークが伸びきった状態で走るのがベストなので

繊細なアクセルコントロールをするよりも

TCSのレベルをその時々のタイヤのグリップレベルに応じて

調整した方が楽に速く安定して走れます。

ちなみに今回はTCSのレベルを変えつつ数本走りましたが

路面温度があまり高くない冬場では

TCSレベルは3あたりがもっとも安定していてタイムが良かったです。

TCSレベル5ではさすがにタイムアタックをするには

安定方向に制御しすぎなので

スロットルを少し強めに緩められている感がありますが

普段街乗りをする場合は逆にとても頼りになると思います。

 

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