SUZUKI アルトワークス インプレッション Vol.2

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HA36SアルトワークスのMTシフトノブ

5速MT

1速~5速までがクロスレシオ化されたMTで

特に3速、4速、5速はかなりレーシーな繋がりなので

シフトアップしてもエンジン回転数はほとんど落ちません。

その為、シフトアップやシフトダウンを素早く行っても

スパスパ気持ちよく繋がるので実に爽快で

このクロスミッションがMTを操作する楽しさを

より面白くしてくれますね。

AGSと比べると1速~4速まではむしろMTの方がギア比は重く

特に1速と2速は明らかにMTの方が

エンジン回転数に対して速度を引っ張れます。

その為、急いでギアチェンジする必要もなく

本当にエンジン出力に合った丁度良いギア比だと思いました。

正直、市街地や峠道においては

完璧と言って良いほどのギア比ですね。

ただ・・5速目までもクロスレシオ化された事によって

5速に入っていても6速に入れたくなるというか

まだ4速なんじゃないかと思ってしまうほど軽いギア比なので

6速目がもしあったとすれば

高速道路も含めて全ての領域で完璧だったと思います。

そもそもミニサーキットや峠道に特化して

ギア比を設定したというか

このクルマはランエボのRSと同じで

ラリーカーの競技ベース車両なんだと思い込めば

割り切れるかもしれませんね。

 
エブリィワゴンのMTシフトノブ

アルトワークスのMTはショートストローク化されているという事で

どのくらいショートストロークなのかを実際に調べてみました。

3速~4速にかけてシフトノブが移動する距離を

直尺を当てて測ってみますよ。

まずは同じスズキのエブリィワゴンのMTを調べました。

 
エブリィワゴンのMTシフトノブ

約120ミリ移動しました。

 
HA36SアルトワークスのMTシフトノブ

アルトワークスでは約90ミリ移動しました。

エブリィワゴンに対して約30ミリほどショートストローク化していました。

ちなみに90ミリという数字は

ND型ロードスターのシフトノブと同じストローク量です。

 
HA36Sアルトワークスのプロペラシャフト

ビスカスカップリング式の4WD

一番気になっていた事は

ビスカスカップリング式の4WDでは

普段は2WDのFFとして働いているので

前輪が滑らなければFFと同じである・・という所でした。

これだと普段の街乗りではFFモデルに

ただ50Kgのウェイトを積んだだけの

FFの出来損ないじゃないかと・・

その事を試す為にさっそく峠道にアルトワークスを持っていて

タイトコーナーにて2速全開で立ち上がってみると・・

タイヤがスキール音を立てることもなく

ズサササササっとデフが効いたような

力強いキックバックがステアリングに伝わってきて

手が跳ね返されそうになったので

改めてしっかり強くステアリングを握りました。

そしてFFでは到底マネが出来ないような強力なトラクションで

コーナーをアクセル全開で抜ける事ができたのです。

正にそれは自分がこういう4WDだったら良いのになと

想像していた本物の4WDの挙動でした。

それは過去に家に置いてあった

GDBやGHのインプレッサと比べて差が無いように思えるほど

ちゃんとAWDしていたので

4WDモデルを選んで良かったと本気で思えた瞬間でした。

 
HA36Sアルトワークスのビスカスカップリング

あと、一度やってみたかったのがハンドルをフルに切った状態で

1速でアクセル全開でのターンなんですが

これまたズサササササ!っと強力なキックバックが

ステアリングに伝わってきて

ステアリングを切っている方向に

吸い込まれるようにグルっと

強力なトラクションで素早く回る事が出来ました。

これはもう雪道の為だけに使う4WDではなくて

完全にスポーツ走行にも使える4WDシステムですよ。

雨の日にもあえて峠道でテスト走行をしましたが

雨でも関係無しに全開でコーナーを抜けられるので

逆にその安定感が面白みに欠けるとも思えましたが

まさにそれはインプレッサで感じた物と全く同じ物でした。

たぶん、前輪9:後輪1あるは前輪8:後輪2くらいの割合で

常に駆動が後輪にも伝わっている感じが

普段の街乗りでも分かるくらいなので

試しに左右の後輪だけを浮かせて

片方の後輪を手で回してみると

前輪が地面に接地している事で

タイヤがロックして回りませんでした。

これが常にリアに駆動が伝わっている証拠ですね。

車体を整備する度にそれを何度も試してみると

希にタイヤが回せる時もあったので

一応、完全にリアの駆動が切れて

前輪駆動の状態になる事もあるみたいですね。

時々、駐車場に入れる時にハンドルをフルに切ると

タイトコーナーブレーキング現象が起きてエンジンが

少しだけストールしたりもするくらいなので

路面の状態によってかなりアナログな感じで

駆動配分が変わる印象でした。

ちなみにブレーキング現象と言っても

パートタイム4WDのように

ガクンと急に車体が停止するレベルではないので

特に気になるほどではなかったです。

 
HA36Sアルトワークスのサイドブレーキレバー

サイドターンについて・・

常に後輪にも駆動力が伝わっている事は分かりましたが

逆にそうなると問題になるのは

走行中にクラッチを切ってからサイドブレーキを引く

サイドターンの時ですよね。

結論からいうとFFやFRの駆動方式のようなサイドターンは

出来ませんでした。

これが常に駆動力が後輪にも伝わっている事の

デメリットな部分だと言えます。

しかし、サイドブレーキはワイヤーを介して

後輪だけにブレーキを掛ける装置であり

それがプロペラシャフトを介して前輪も止めようとしているだけなので

ブレーキバランスは極めて後輪側が強い状態な訳なので

速度を2WDよりも多めに乗せたり

曲がりたいコーナーの手前で逆にハンドルを切って

振り子のように慣性を利用すれば

ちゃんとサイドブレーキを使ってテールを流す事が

出来るときもあったので

やはりアナログ的な感じで常に駆動配分が変わるようです。

なので前輪駆動の感覚でサイドブレーキを強く引くと

まるで普通にフットブレーキを掛けたかのように

ハンドルを切ったまま車体が止まってしまうので

時速35~40Km/hの低速では

車体の方向を180度逆に向かせるような事は

100%不可能だと思いました。

なので・・・逆にその事をメリットとして考えるなら

たとえブレーキの油圧システムが死んだとしても

サイドブレーキだけを使ってブレーキを掛けても

安全に車体を止める事が出来るので

2WDよりも信頼性の高い2重のブレーキシステムが

搭載されていると思えばより安心出来るのではないでしょうか・・

ちなみにAGSモデルの4WDアルトでは

サイドターンをする時にクラッチを瞬時に切ったり

繋いだりが出来ない分、MTよりも致命的と言えますが

どっちにしろ走行中のサイドブレーキによるターンは

MTであっても出来ないと思った方が良いですね。

つまりこれが4WDモデルが競技に使えない最大の理由で

アンダーステアが出ると

ドライバーは何もやりようが無いのです。

 

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